わがまちを見守る名城を散策
3月12日、九州新幹線が全線開業した。実際暮らしている人間は案外冷静だが、県外の知人から「新幹線で一気に熊本まで遊びに行けるよね!」なんて言われると、ちょっとうれしい。そうなるとこちらも、案内するのに少し勉強しておきたいと思うもの。そこで、熊本市のシンボル・熊本城を歩いてみることにした。
熊本城は名将・加藤清正が築城した日本三名城のひとつで、別名「銀杏城」といわれている。その見た目から「烏城」という人もいる。熊本城の石垣は独特の弧を描く扇勾配で、「武者返し」と呼ばれている。初めて熊本に暮らすことになった時、「街中にこんなに威風堂々とした城があるとは!」と思ったのを覚えている。友達が遊びに来れば必ず連れて行ったし、街に出かけたときは熊本城、県立美術館、二の丸広場、県伝統工芸館をよくハシゴした。
だから熊本城のことは知っているつもりだった。しかし知っているようで知らないことがけっこうある、ということが、観光ボランティアガイド「くまもとさるく」のガイドさんに案内してもらってわかった。特に、創建当時から残る唯一の多層櫓「宇土櫓」は・・・(汗)。いっしょに歩いた友達は、「熊本城の中で宇土櫓がいちばん好き」と話していた。
平成20年4月20日には、復元中だった「本丸御殿」が一般公開された。また今年3月5日には「桜の馬場 城彩苑」がオープン。江戸時代の城下町を再現したような空間に、県内の23店舗が揃う飲食物販施設「桜の小路」や歴史文化体験施設「湧々座(わくわくざ)」などが備わる。
自分が暮らすまちを、ゆっくり歩く機会はそうはない。「知人が遊びに来る」というひとつの出来事が、まちを知るきっかけになる。自分が案内人になって、知人にまちのことを伝える。その知人がまた別の人に伝える。この別の人が、遠く離れたまちに興味を持つ。その連鎖はおもしろい。かしこまって勉強することはない。「あの看板、おもしろい」とか「あの店のマスター、誰々に似ている」とかでもいい。
“まち歩き”という小さな旅でも、気持ちを和ませたり楽しませたりする大きな力を持っている。自分が暮らすまちなら、新しい発見があったときの喜びはいちだんと大きい。春だ。冬眠から目を覚まして、歩くのだ。(2011年4月1日時の記事です)
●もう九州新幹線が開業してから3年以上経ちました。はやいですねえ…。2月に散策しましたが、最高気温10度未満だったような。とにかく寒かった!(汗)でも梅園では梅が咲きはじめていてきれいでした。桜写真はそれ以前に撮影したものです。城と桜はかっこいいですね~。(文・写真・マップ/山口 文子)
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