九州遺産の旅

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青の洞門 [大分県中津市]

九州最大級の断崖絶壁に刻まれた手掘りの隧道

1、秀峰と青の洞門メイン江戸時代の漢学者・頼山陽が「天下に比類なき絶景」と驚嘆した景勝地・耶馬渓に、総延長144m全てが手掘りという珍しい隧道(トンネル)がある。かの菊池寛の小説「恩讐の彼方に」の舞台として一躍有名になった、「青の洞門」である。

この洞門が掘られたのは、今から約250年前。その当時、この地は「鎖渡し」と呼ばれ、年間十数名もの人が命を落とす大変な難所として恐れられていた。ある時、また旅人が転落死したところに、偶然旅の僧が通りかかった。名を禅海といい、元は武士であったが、過って人を殺してしまったことから仏門に帰依し、諸国を行脚しながら衆生救済の道を模索していたのである。村人から事情を聞いた禅海和尚は、遭難者の弔いを済ませると「鎖渡し」を訪れ、ここに隧道を突いて安全な道を造るという大願を発する。これこそ自分が求めていた人々の救済の道なのではないかと考えたからである。

その日から、和尚は独り、槌とノミを持って固い岩壁を削り始めた。来る日も来2、国道と旧道る日も、和尚は岩壁を打ち続ける。そんな和尚の姿を、はじめは村人達も嘲笑っていた。それでも和尚の信念が揺らぐことはなく、独り何年も掘り進むうち、それまで見向きもしなかった村人達が、一人また一人と、次第に掘削を手伝うようになっていった。そしてついには村人総出での大事業となったのである。

宝暦13年(1763)、ついに洞門は貫通。全通までに要した年数は、実に30年余とも伝えられている。“虚仮(こけ)の一念岩をも通す”とは、まさにこの禅海和尚の行為そのものを指す言葉ではなかろうか。

秋は「青の洞門」周辺が紅色に輝く絶好の季節。洞門の近くには、禅海和尚が逗留したと伝えられる羅漢寺があり、参道入口近くの「禅海堂」には、禅海和尚の遺品や、彼が使用した槌・ノミなどが展示されている。耶馬溪の紅葉狩りの途中に立ち寄って、禅海和尚がこの洞門に込めた熱い想いを、是非感じ取ってほしい。

取材・文/前田 信次

 

DATA

青の洞門

所在地:大分県中津市本耶馬渓町曽木

問い合わせ:中津市商工観光課 0979-22-1111(代表)

見学料:青の洞門、禅海堂の見学は無料。羅漢寺へのリフトは1人往復700円

交通:大分自動車道日田ICから国道212号線を約40分

 

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