九州遺産の旅

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嘉穂劇場(かほげきじょう) [福岡県飯塚市]

三度の被災を乗り越えて蘇った伝統の芝居小屋

嘉穂劇場メイン外観  八木山峠を越え、繁華街にある小さな路地へと迷い込むと、突然目の前に、色鮮やかな招き絵や芝居看板が並ぶ異空間が現れる。まるでタイムスリップしたかような歴史を感じさせる建物。ここは、飯塚市にある「嘉穂劇場」。九州でわずか2つしかない、木造の芝居小屋である。

嘉穂劇場は、大正11年、大阪道頓堀の「中座」を模して建てられた「飯塚中座」がその前身。現存する建物は、昭和6年、伊藤隆によって再建されたものである。

「当時の飯塚は全国でも有数の石炭の産地で、今でいえば産油国の都みたいなところですね。最盛期には、川沿いに40を超える芝居小屋が建ち並んで、それはそれは大変な賑わいでした。炭鉱主や坑夫が毎日沢山押し寄せて・・・。芝居は、飯塚では最高の娯楽だったんですよ。」

と語ってくれたのは、管理人の伊藤真奈美さん。さすがに創設者・伊藤隆氏の血を引く方、劇場の案内も堂に入っていて頼もしい。

栄華を極めた飯塚の街も、戦後は容赦なくエネルギー革命の波にさらされた。炭鉱は衰退の一途をたどり、一軒また一軒と、劇場も姿を消し、ついには嘉穂劇場のみとなってしまう。さらに追い討ちをかけたのが、平成15年7月に北九州を襲った集中豪雨。嘉穂劇場も壊滅的な被害を受け、廃業寸前まで追い詰められた。

嘉穂劇場館内しかし被災後、廃業を惜しむ全国のファンから多くの義援金が寄せられ、地元財界や県、市なども募金活動を開始。NPO法人として再建の道が開かれ、日本宝くじ協会や日本小型自動車振興会による補助、さらには、芸能界のトップスターたちによる復興支援イベントなどが功を奏し、平成16年9月、ついに劇場は創建当時の姿で蘇ったのである。

現在は、芝居だけでなく、歌謡ショー、プロレス、サーカス、地元学生の演劇大会など、上演されるジャンルも幅広い。最近では、椎名林檎のプロモ撮影が行われたり、松平健が「暴れん坊将軍」を演じたこともあるとか。再建後も、多くの市民や劇場ファンに愛され続ける嘉穂劇場。公演がない時には、館内をゆっくり見学することができ、2階の嘉穂劇場の歴史を振り返るコーナーで、激動の時代を生き抜いた人情味あふれる劇場の雰囲気を味わってみるのもまた楽しい。

取材・文/前田 信次

 

DATA

嘉穂劇場

福岡県飯塚市飯塚5番23号 TEL 0948-22-0266

【劇場見学】見学料:1人300円(劇場前駐車場100円/30分)

【休館日】1月1日、12月31日及び公演日

※公演の前日など、見学できないこともあります。

【アクセス】

車)九州自動車道福岡IC~八木山バイパス(有料)経由で約30分、国道200号線経由で50分、JR)博多駅~篠栗線・筑豊本線飯塚駅下車後、徒歩15分

 

 

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