九州遺産の旅

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軍艦島 [長崎県高島町 端島]

失われた時間(とき)を求めて

砕け散る波しぶき越しに私の目の前に現れたのは、海上に浮かぶ巨大な鉄筋コンクリートの塊と、崩落し散乱した建築群。これはまるで海の墓標だ。低く旋回する海鳥のほかは、生き物の姿も見受けられない。ここは長崎県高島沖の無人島・端島(はしま)、通称「軍艦島」である。

2 軍艦島の遠景むかし、島は小さな岩礁に過ぎなかったという。だが1810年に発見された石炭が、岩礁の運命を大きく変えた。石炭採掘を契機に大規模な埋め立てが始まり、人が住みつき、岩礁は拡張の一途をたどる。そしていつしか周囲が1km余りの人工島へと成長し、建築物がすき間なく建ちならぶ、コンクリートの迷宮が海上に出現するに至った。海から眺めるそのシルエットは、戦艦「土佐」に酷似し、いつしか島は「軍艦島」と呼ばれるようになった。最盛期には五千人を超える人口を擁し、日本初の鉄筋コンクリート高層集合住宅も造られ、その建物は日本建築史上特筆に価する文化的遺構であるといわれている。
軍艦島 全景

1974年、エネルギー革命の波に晒され、端島炭鉱は閉山、島は無人となった。現在は立入りが禁止されるほどに荒れ果てている。しかし、島の中には人が暮らした痕跡がまだ濃厚に残っている。同行していただいた高島町商工会の野崎理事は言う。

「端島を故郷としている人、思い出を大切に温めている人が沢山いるんです。そんな人達を媒介にして、かつての端島の賑わいを話し伝えながら遺産として残し、新しい観光資源として活かして行けたら・・・私は、そう思っています。」

人が去って以来、眠るような不思議な時間を過ごしてきた端島。産業遺産的価値を認められ、世界遺産となる日もそう遠くないだろう。

取材・文  前田信次   協力・NPO法人軍艦島を世界遺産にする会

DATA

端島(軍艦島)
(住)長崎県西彼杵郡高島町端島   (問) NPO法人軍艦島を世界遺産にする会
TEL095‐883‐8811

 

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